心理的瑕疵と不動産

1.瑕疵とは

 瑕疵(かし)とは、その物が通常有すべき品質・性能を欠いていること。また、それだけでなく、売主が特に保有すると保証した品質・性能を欠く場合をいいます。

 住宅であれば、建物の傷や不具合だけでなく、売主が保証した建物の断熱性や遮音性等の品質、性能、また、過去の事故歴などの情報や法規制があった。等、これらが瑕疵にあたります。

なお、平成2年4月の民法の改正により「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変更されました。

2.心理的瑕疵とは

 物件自体や周辺環境には問題無いものの、目的物の使用にあたり、心理的嫌悪感(スティグマ)がある瑕疵を言います。

 たとえば、隣が暴力団員の住居であった、オカルト集団が使用している。また、自殺や殺人事件がその建物で発生した。等、買い手や借り手が忌み嫌い敬遠する物件を心理的瑕疵がある物件と言います。

 昨今は、老人の孤独死や孤立死が頻発しており、死後に長期間放置された孤立死も心理的瑕疵と言えます。

3.心理的瑕疵のある賃貸物件の場合

 自殺があった賃貸マンションの場合、賃貸条件をどうするか問題になります。

  1.  賃貸不能期間:半年~1年程度は瑕疵物件の賃貸をせず、空室とすることが多いです。
  2.  重要説明事項:自殺の場合は重要説明事項に記載し、説明をすることがおおく、孤独死等の場合は口頭説明が多い。
  3.  賃    料:1~3年間は賃料を半額にすることが多い。賃料の低い物件を求めるニーズはあるため、都心等では客付け可能。また、礼金なし等の場合もある。
  4.  その後の対応:1度賃借人が入った物件は、その後心理的瑕疵がある等の説明はしないことが多い。 

4.心理的瑕疵のある売買物件の場合

 売買では、心理的瑕疵は強く影響します。自殺等があった建物が残っていれば、当然減額されて流通しますが、建物が取り壊され更地化しても、心理的瑕疵が残ることが多々あります。特に地方ではその影響が強く、更地化した後も10年程度影響が残る場合もあります。

 心理的瑕疵がある売買物件の場合、相場の50%程度で取引されることが多いようです。地方の戸建住宅地等では、相場の30%程度でも買い手がつかないことがあるようです。

5.競売物件における減価率

「大阪地方裁判所における競売不動産評価運用基準」(判例タイムズ社)によると、事故物件(自殺、殺人又は死後相当期間経過後に遺体が発見された等)は、買い受けや賃借は回避されがちであり、瑕疵が内在し、減価要因があるといえるとし、30%を上限に減価する、としています。 

6.不動産鑑定評価における減価率

  不動産鑑定評価においても、これらの減価率や事故物件の取引状況を、また、賃貸においては再募集時の賃貸条件等を考慮し、評価を行っています。

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